日本のテキスタイル
繊維産地まとめノート
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地域別 繊維産地データ
東北米沢産地:山形県
天然繊維と化学繊維の総合織物
古くは江戸時代に麻織物からはじまり、やがて桑の栽培と養蚕が盛んになると麻絹混織、絹織物へと変化していった。時代の推移と共に化学染料による染色や人絹(レーヨン)応用の織物など近代化が進む。米沢平と呼ばれる高級袴地が有名。実に礼装用男袴の約95%が山形県米沢市で生産されている。
関連リンク 米沢繊維協議会
栃尾産地:新潟県
化合繊織物、ニット
地域ごとに分業制で生産されることが多い中、新潟県中央部に位置する長岡市栃尾は、糸から織物に至る工程が地域内に集約されている、全国でも珍しい産地。新素材の複合、ストレッチを得意とし、「おりなす とちお」のキャッチフレーズと共に栃尾産地ならではの素材をアピール。ニットの生産も行われる。
関連リンク 栃尾織物工業協同組合・栃尾織物協会
見附産地:新潟県
ニット、天然繊維と化学繊維の総合織物(先染め,後染め,広幅,並幅)
男性用ニット製セーター出荷額が全国1である。江戸時代より全国有数の織物産地であったが、戦後は洋装の普及とともにニット業の拡大をみせ、ニットの一台産地へと成長を遂げる。国内外のハイブランドによる受託生産を多く行い、ゴルフウェアの生産も盛んである。
関連リンク 見附ニット工業共同組合・広報見附 "特集「産地の誇り」"・匠の夢
北陸産地:石川県、福井県、富山県
合繊長繊維(ポリエステル・ナイロン)の織、ニット
スポーツ・アウトドアなど向け高密度織物を中心とした合繊の一大産地。同産地のテキスタイルは衣料用のみならず、カーシートやパソコン, 建築内装材等の産業資材分野にも多く活用されている。 XSTUDIO(福井県)のように、専門や地域を超えて新たなプロジェクトを生み出す取り組みなどもみられる。
関連リンク 石川県繊維協会・福井県織物工業組合・城端織物工業協同組合
足利産地:栃木県
絹織物・たて編・よこ編・丸編・染色
江戸時代までは綿の織物で栄える。明治に入ってから絹織の生産に注力し輸出を拡大。昭和初期からは「足利銘仙」で一世を風靡する(銘仙の五大産地:伊勢崎,足利,桐生,秩父,八王子)。戦後洋装の時代を迎えてからはトリコット(たて編)を中心とした編地の産地となり、一口に繊維産地といってもかなりの変容を遂げてきた。また足利産地は、栃木県佐野市や群馬県桐生市,太田市などを含んだ一帯の総称として両毛産地(上毛野国:群馬県と下毛野国:栃木県)とも呼ばれる。
関連リンク FACTORY・塚原株式会社(動画)・足利織物伝承館・匠藍染 紺邑ブログ
桐生産地:群馬県
絹・複合・合繊・化繊
高級絹織物の生産で栄え、「西の西陣、東の桐生」と称された。輸出羽二重を創織した地でもある。桐生織その物の起こりは約1300年前に遡るという記述も散見する。織物に限らず、縫製や染色,刺繍など多様な繊維業が現在も点在する。大正から昭和初期に最盛期を迎えた織物業の名残であるのこぎり屋根の工場跡を産業遺産としてのこし、用途を変換して観光などにも活用する動きがある。
関連リンク 桐生テキスタイル・桐生織物の歴史(桐生市)・トリプル・オゥ・OLN
富士吉田産地:山梨県
細番手・先染・高密度・多品種
"甲斐絹(かいき)"を代表とする絹織物の生産を担ってきたことから、細番手の糸の扱いを得意とする産地。現代はネクタイ生地、インテリア生地、裏地、傘地、ストール、服地などの生産が行われ、ファクトリーブランドも多く台頭してきている。毎年秋にはハタオリマチフェスティバルが行われ、織物産地としてのPRや取り組みを地域と市が連携し行っている。
関連リンク ハタオリマチのハタ印・富士吉田織物協同組合・MEET WEAVERS
八王子産地:東京都
先染・絹織物・ニット・染色・養蚕
もともと市場として栄えたが、やがて桐生・足利などの織物技術先進地と消費地(江戸・横浜港)をつなぐ立地から、織物・養蚕業が発展していく。(桑都という別称をもつ。) 力織機が導入される大正から昭和初期にかけては、家内工業から工場制工業へ転換し単なる集荷地ではなく織物生産の中心地へと変わる。生産拠点が他府県や海外などに移った現代においても、デザイナーとのものづくりを行う工場は多い。また、近隣には多摩美術大学, 武蔵野美術大学, 東京造形大学, 文化ファッション・テキスタイル研究所など、テキスタイルを学べる教育機関も多い。
関連リンク 文化ファッション・テキスタイル研究所(旧みやしん)・つくるのいえ・八王子市HP・機資料館(成和ネクタイ)
湖東産地:滋賀県
麻織物・染色・整理加工
近江上布などで知られる高級麻織物の産地である。琵琶湖が発する湿気から、麻の製織に向いた高温多湿な自然条件に恵まれたとされる。また、大阪・京都などに近く産地として発展を遂げた。昭和50年頃からは、着物用の細幅織物から広幅へ転換し、日本の麻布生産を支える。現在産地の高齢化により湖東での麻布製織は希少であるものの、多品種を扱う技術とオリジナルの新しい布を強みに残る工場がある。
関連リンク 林与・湖東繊維工業協同組合・つなぐ通信(近江特集)
泉州産地:大阪府
綿スフ織物・タオル・毛布
古くは綿の栽培に適した土地であったことから、「和泉木綿」の産地として名を馳せた。明治以降、輸入綿に押され一度市場から姿を消すが、近年に入り地場産業としての復活を遂げる。泉州の中でも泉大津を中心とした地域は日本の毛布生産の90%を占めており(明治以前は綿の真田紐が特産品であったが、衰退したことから牛毛布生産を始め、日清・日露戦争の軍需などをきっかけに毛布生産に特化していく。)、また泉南地方は今治と並んでタオル生産が盛んである。(後晒タオル)
関連リンク 泉大津市HP・泉州タオル館・桃山学院大学総合研究所資料「近代産業遺産の調査研究」
丹後産地:京都府
絹織物・ちりめん・染色
日本最大の絹織物の産地。和装用白生地において約70パーセントのシェアを誇る。江戸時代に京都西陣から持ち込んだ撚糸技術をもとに創織したものが「丹後ちりめん」の始まりで、以来産地として急速に発展。昭和中ごろからは先染織物(帯地・ネクタイ地)などの生産も盛んで、後染織物(ちりめん)と合わせて絹織物の総合産地である。近年は水に強い化繊ちりめんの製織も行われる。
関連リンク 丹後織物工業組合・ひらく織・KUSKA
西脇(播州)産地:兵庫県
綿織物・先染
先染の綿織物で国内生産の約70%のシェアを占める。「播州織」とは、シャツ地などに使用される薄手の先染め綿織物で、代表的な柄にギンガムチェックやストライプがある。大きなロットをこなす体制と技術が備わった産地で、工程ごとに細かく分業化されている。
関連リンク hatsutoki・大城戸織布ブログ
遠州産地:静岡県
綿・麻など天然繊維の広幅織物が中心
日本を代表する湖のうち、古都京都から近い琵琶湖のある近江に対し、遠い浜名湖のある遠江、別名"遠州"と呼ばれる静岡県西部の地域。泉州、三河と並び、日本三大綿織物産地である。広幅織物が8割を占める。また、生産性の高い織機(無杼織機)が台頭して来ている中、シャトル織機の保有台数が多い産地であることも特徴的。伝統的なからみ織の技術が残る。
関連リンク 浜松ものづくりプロジェクト・遠州産地 -広幅織物のこと-・遠州産地の学校・しゃかいか!ブログー遠州産地について
天龍社産地:静岡県
別珍・コール天・綿スフ織物/合繊(短)織物
全国生産量の90%以上のシェアを誇る別珍・コール天(コーデュロイ)の生産地。明治中期に輸入コール天を見本としてコール天製織の研究が開始され、明治28〜29年頃にはコール天、明治43年頃には別珍の製造に成功。当時は鼻緒材料としての人気があったコール天だが、現在の用途は多岐にわたる。しかし近年は海外での生産が主で、国産が縮小の一途をたどる。そんな中、素材産地からの脱却、下請脱却のへの取り組みが行われている。
関連リンク カネタカ石田(株)ブログ・天龍社織物工業協同組合・BECCO
知多産地:愛知県
綿の白生地・小幅織物
知多木綿などで知られる、綿織物の産地。浴衣、甚平、手ぬぐいなどに使われる小幅の白生地, 平織りが主。賃織加工形態が中心であり自社販売率は非常に低いため、安い海外生産の影響を強く受ける。現経営者, 従業員の高齢化、更には後継者不足など他産地同様に課題は多い。
関連リンク 新美(株)・古き知多の散歩道「おかだ」・uzuブログ--知多のガーゼ
尾州産地:愛知県・岐阜県
毛織物を中心とした天然繊維
尾張国の通称、尾州は毛織物の産地として有名である。他産地と同様、もとは麻や絹から始まり、明治初期までは綿織物が中心であったとされる。明治24年の濃尾大震災をきっかけに綿栽培が困難になった当地では、輸入毛による毛織物の進出を遂げ、苦心の末毛織物の一大産地へと発展した。分業体制が確立されているため、多品種少量短サイクル生産を可能としている。
関連リンク テキスタイルマテリアルセンター・Re-TAiL・ハタオリマチのハタ印ブログ−尾州産地について
三河産地:愛知県
綿・スフ織物・繊維ロープ
綿伝来の地とされる。蒲郡(がまごおり)市を中心とした地域一帯で、一次加工品から最終製品までを一貫して生産できる特色を持つ。エアージェット・レピア・スルザーなどの最新鋭織機から小幅の力織機まで保有し、ドビー・ジャカードを駆使して、インテリア・寝装・資材など幅広い分野の織物を生産。日本三大綿織物産地として名を馳せたが、現在は織物業に限らず多種多様な繊維関連企業の集積地である。近年は多重織りガーゼを使った寝具やベビーの人気が高い。
関連リンク 夢織人−三河産地の人物紹介ページ・fuwaraインスタ・ichiori gauze
三備産地:岡山県・広島県
デニム・学生服・帆布
岡山県児島周辺(備前)、岡山県井原市や広島県福山市といった備中(びっちゅう)備後(びんご)地域の総称として三備産地と呼ばれる。児島は国産ジーンズ発祥の地とされ認知度が高い。その他に学生服やワーキングウェアなど”丈夫な綿生地”の印象が強い産地。歴史的にも、もともと綿織物が盛んで多様な繊維製品を扱っており、1960年代頃から国産ジーンズの生産地としての地位を築く。芯白の染色や、ウォッシュ加工、デニム縫製など産地特有の高い技術をもった繊維関連企業が多い。
関連リンク 備中備後ジャパンデニムプロジェクト・備後節織・YKK日本のジーンズの歴史・倉敷観光web-三備地区ジーンズにいたるまでの変遷
今治産地:愛媛県
タオル
日本にタオルが入ってきたのは明治になってからである。それまで、今治では綿の白生地やネル生地を多く織っていた。明治27年より当産地でタオルの製織が開始し、平成3年には国内最大規模へと成長するものの、それを境に海外の安価な製品が台頭してきて一気に圧倒される。そして平成18年、佐藤可士和氏にブランディングを依頼し今治タオルプロジェクトをスタート。"5秒ルール"など厳しい基準を設け品質を保っている。
関連リンク 今治タオルwebサイト・texport今治・今治タオル工業組合
徳島産地:徳島県
阿波藍(藍染の原料、「すくも」)・大谷焼(藍甕)・藍染
気候風土が藍作に適しており、江戸時代から藍の栽培が盛ん。稲作に次ぐ主要作物であった。藍染めも藍の栽培も全国で行われていたが、阿波藍は特に品質に優れていたため全国に販売される。生産量は1900年代にピークを迎えたが、インド藍(沈殿藍)やインディゴ(合成藍)が台頭してきて一気に縮小する。(藍の栽培面積1903年:約15,000ha 2012年:約14ha)また藍染液を作る過程で藍を発酵させるために使う巨大な藍甕(あいがめ)などの需要で大物陶器の生産が発展する。(大谷焼)
関連リンク AI/TOKUSHIMA・紺邑ブログ「紺屋の白袴」・藍の統計概要(徳島県)・SUEKI CERAMICS
久留米産地:福岡県
綿織物・はんてん・絣
伝統的な久留米絣で知られる産地である。藍色と白のコントラストが美しい。江戸後期に井上伝により考案された久留米絣は、明治以降、技術の発展と共に多様な柄が生み出された。今でこそ高級品だが当時は庶民の日常着として流通していたとされる(位の高い者が絹などを身に着け、庶民は木綿の着物を着るように規制されていた)。昭和に入ってから半纏の製造が盛んとなり、現在国内の綿入り半纏のシェア90%以上を誇る。
関連リンク ひろかわ新編集・久留米かすり物語(動画)・うなぎの寝床・久留米絣組合
博多産地:福岡県
絹織物
帯などに使われる厚地の絹織物、"博多織"の産地。博多の商人が中国に渡って織物の技術を習得し、帰国後に改良を加えたのが起源だと言われる。江戸幕府や皇室への献上品に選ばれ、繊細で優美なものも多い。福岡市内には、人間国宝の小川規三郎氏が学長を務める学校 "博多織DC" があり、博多織のクリエイター、プロデューサーを育成・輩出している。
関連リンク 博多織DC-おりおり便・博多織工業組合・博多織777年記念動画
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