シャトル織機次世代ネットワーク

シャトル織機次世代ネットワーク

2022/11/12

「シャトル織機次世代ネットワーク」という勉強会に行ってきました。
会場は、愛知県名古屋市にある「トヨタ産業技術記念館」。日本で繊維産業に携わる者にとって五本の指に数えるような聖地のひとつです。私たちは今回初訪問でしたので、予定が決まってからずっと楽しみにしていました。

トヨタって、あのトヨタだよな、車だけじゃなくて織機が展示してあるのが想像できない、、、

「シャトル織機」とは、日本語で有杼(ゆうひ)織機とも言い、織物のヨコ糸を往復させる為に杼(ひ)と呼ばれる細い糸巻きの道具を使用するタイプの織機です。
最新の織機は空気や水の力でヨコ糸を直接飛ばしたり、細いクリップでつまんで運んだりして高速化を実現しています。

こんな感じの鉄製の大きな見た目で、ガッシャンガッシャン音も大きくて、昔ながらの機械です

簡単に言えば、「シャトル織機」はひと昔前の機械です。

何故そんなものを、今更 ”次世代” に向けて勉強する必要があるのかというと、海外では博物館に飾ってあるようなこの織機を、日本では、現役稼働している現場があるからなのです。(高速化された織機で生産された織物と、構造や風合いが異なります。)

それでは何故、シルクスクリーン(手捺染)工場の私たちが織機のコミュニティに参加させていただく運びになったのかというと、これから、工場で織機を動かすという、ぶっとび計画邁進中だからです。これについてはまた改めて生地にしたいと思います。間違えた、記事にしたいと思います。

トヨタ産業技術記念館の名物、環状織機。こちらは試作機第4号で、製品化されることのなかった機械。発明家・開発者の精神の象徴として飾られていて、とてもかっこいい。しかもこれ、、、動きます。

本来の目的は勉強会に参加することですが、折角なので館内をぐるりと見て回りました。そして、勉強会の途中にも、今度は贅沢にご案内をいただいて、更に詳しく学ぶことが出来ました。

正直、この博物館は、織物の機械に興味がある者にとってあまりにも感動的な場所でした。感動ポイントを以下にまとめます。
①開発の段階に合わせてもれなく様々な種類の機械を見ることが出来る
②機械が動く状態にメンテナンスされている。館内のスタッフの方が適切に操作できる。
③他社の機械なども揃っていて、総括的に織物の機械に触れることが出来る

所狭しと様々な織機が並んでいる。

この、トヨタ産業技術記念館についてはまた、詳しくレポートにしたいと思います。

本筋にもどりまして、今回、前掛けの「エニシング」の西村社長が発起人となって開催された「シャトル織機次世代ネットワーク」。現役でシャトル織機を動かしていらっしゃる工場の方、それから職人や技術者としてシャトル織機に長年向き合ってきたレジェンド的方々。そんな顔ぶれの中に、これから始めようという私たちを混ぜていただいて本当に心から感謝です。

最初に、会場であるトヨタ産業技術記念館の副館長から、トヨタの沿革とトヨタ産業技術記念館が開館するまでの流れ、それから会館以降の運営などのお話を伺いました。

その後、全国各地でシャトル織機を扱う工場さんの中から4社の方が発表をしてくださいました。
①福島県会津 会津木綿の産地から はらっぱ 原山さん
②岡山県倉敷 帆布の産地から 倉敷帆布 武鑓悟志(さとし)さん
③福岡県八女 久留米絣の産地から 坂田織物 坂田さん
④愛知県豊橋 前掛けの産地から エニシング 影山さん(工場長)

主に、機械の部品調達のこと、機械が故障したりうまく動かないときの対処(技術的な側面と、人手的な側面の両方)などについて話し合われました。

最後に、株式会社糸偏の宮浦さんから「日本のテキスタイルの国際競争力」についてお話がありました。日々ものづくりに向き合っていると、つい焦点が近くに行ってしまいがちです。外国も含めた広い視点で見たときの自分たちのものづくりの特異性と可能性を教えてもらうことが出来ました。

正直まだこれからの自分たちにとって、きちんと理解できていなかった部分も多いのだと思うのですが、新たに製造されることのない機械を使いながら織物をつくることの難しさを感じるとともに、凄く魅力的な世界だと改めて思いました。

まだまだ、スタートラインにも立てていない私たち。
これからどんな布を描いていくことが出来るのか。身が引き締まる思いがしました。