フェルトの鍋敷き

2020/06/22

巣籠り中につくったもの、その2は鍋敷きです。

無地のコルク製を使っていて、便利でいいのですがちょっと味気なくて。

そこで登場、桐生でニードルパンチしてきた布!
………「なんだそれ?」って思われるかもしれません。

まず桐生ですが、群馬県にあります桐生市、繊維産地のひとつです。(繊維産地について詳しくは>>> こちら)
昔からの名台詞で「西の西陣、東の桐生」と呼ばれ、関西は京都の西陣織、関東は群馬の桐生織と名を馳せるような織物産業を代表する地域です。
近年では感度の高いお店が多く、カフェめぐりや買い物が楽しい場所でもあります。

そんな繊維の町に、ニードルパンチ工場、Tex.Boxさんがあります。

Tex.Box


手芸になじみの薄い方でも、フェルトは見聞きしたことがあるのではないでしょうか。
あれは、織物でも編み物でもなく、(主に羊の)毛がこんがらがってできたシート状の不織布なんですね。

どうやってあのフワフワの毛を絡ませるのかというと、方法は主に2つあって
1.水+洗剤+熱で、もみ洗う
2.返しのついた針でひたすら刺す

洗濯に失敗してお気に入りのセーターが縮んじゃうのが「1」です。あれは編み物(ニット)だった毛糸の生地がフェルト化したことで、密度が上がり逆に面積がせまくなった結果です。

一方で、立体的なワンコの人形などを作ったりするのが「2」の方法です。ニードルフェルト、羊毛フェルトなどとも呼ばれます。これは、なじみの無い方には初耳かもしれません。

ニードルパンチ工場は、上述の「2」の方法を工業用に改良された大型の機械で行う工場のことをさしています。
その機械がどれほどダイナミックかというと、、、

手で行う際は、1~3本の針でひたすらに刺すため500円玉サイズでも10分程度要するところ、機械だと大きな剣山のようなものが高速に刺していくことで、1m x 1m でも1分足らずで出来てしまいます。

それだけの面積を一気に加工することが出来るので、手で行うと途方も無いような作品・コレクション・プロダクトが現実のものになるんですね。
とはいえ、ニードルパンチを専門とした工場さんは大変珍しく、Tex.Boxさんは国内でもとても希少な加工屋さんのひとつです。

基布の組織(ニットなのか織物なのか)ほとんど分からない、毛羽が立ち、二枚の布色がブレンドしている。

最後に伺ったのは昨年11月のこと。
その際に体験で作成させてくださった布(を皆で山分けしたはぎれ)が、手元にあったのです。

フェルトの良い所は、切れ端がほつけてこないこと。それから厚みと密度があり、動物の毛なのでやや撥水すること。
よってファッション以外にも、コースターやミトンなど生活雑貨に向いてる布といえます。考えてみれば、とても万能なんですね。

そして、染め・織り・編み・刺繍どれでもない独特の表現と風合いで面白いんです。
Tex.Boxさんは、本当に人が思いつく限り全部みたいな沢山のニードルパンチのサンプルを制作されていて、それはテキスタイル初心者にとってはもちろんのこと、テキスタイル上級者の方にとっても、ワンダーランドであること間違いなしです。

これは私の主観ですが、あえてタブーを破っているようなパンクな精神がサンプルから伝わってきます。
「フェルト加工でこんなことが出来るの」、「こんな面白いテクスチャーの布って作れるの」、
そんな発見がつまった工場さんでの感動を、思い出しながらつくる巣篭もり中の手仕事その2でした。