くるみボタンのマスク

くるみボタンのマスク

2020/06/10

今年は新しい年を迎えて間もなく、家で過ごす時間が多いですね。
最近ときたらもう、うんざりする程暑い日もあって、気がつけば春はサッサと過ぎ去ってしまったようです。

そんななか私は、「外に出られない休日」をひょうひょうと過ごせていた一人で、ラジオを傍らにせっせと手芸に打ち込んでおりました。インドアな気質がこんな風に役立つ日がくるとは、予想だにしませんでした。

そんな巣籠もり(すごもり)の日々に作ったものを、ぼちぼちここでお披露目したいなと思います。

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ここ「つくるのいえ」にはいつも、なんでもない日に色んな人があらわれます。

ひとしきりおしゃべりして、「またくるね~」と帰ります。

その日も同じで、岡村さんがやってきました。岡村さんは近所の機屋さん(織物をつくる工場)の方で、前から何かと新しいものを作っては見せ合いっこするような仲です。

「はいこれ、あげる。」

雑な言葉とは裏腹に、ふんわりした淡い色のきれいな生地を受け取りました。
みずいろ、あお、赤、きいろ、太細さまざまな格子柄。。。

この生地は布マスク用にと、わざわざ新しく、しかも無償で織られたようです。
どうりで柔らかく、そして密度もちょうどいい。清潔感があって明るい気持ちになる色。

仕事が減ったりキャンセルで、困っているのはお互い様であるというのに、それでも尚「みんなの為に」身を削って動くことが出来る人は多くないと思います。だって、むしろ助けてもらいたい身だもの。岡村さんは本当に、稀有な優しさをもつ織物屋さんです。

そうして出来上がった、八王子生まれの布マスク。

色とりどりの布を組み合わせて作るのは楽しく、出来上がりも爽やかポップになって、嬉しい気持ちです。

耳かけ用のゴムはどこも品薄でしたので、これまた岡村織物さんで作られた「組みひも」を使ってみました。
ひもに伸縮性がないので、長さ調整用につけたくるみボタンがデザイン的にも良い仕事してくれて気に入っています。

近所で、腕が良くてセンスも良くて、とてもお人よしな機屋さんとの縁は、幸運以外の何物でもないとつくづく思います。
お陰でマスクを作ってみようとなって、かわいいのが出来て、結構たくさんの人が笑顔になりました。
優しさがいっぱい詰まったこれを、私自身、長く使い続けようと思いました。

さて、ここからは余談ですが、これが出来る前に実は幾つか試したんです、布マスク作り。

公私共にさまざまな色柄形で試しました。小さなプロダクトだけど(だからこそなのか)柄と形の相性が結構あって悩みました。

始めに作ったのは、染工場で見つけたガーゼタオルの余り布のマスク。
それがちょっとスカスカした生地だったので、6枚重ねにしたんですね。
そうして出来たマスクの自己評価は、、、

肌触り   ☆☆☆
かわいさ  ☆☆
防御力   ☆☆☆☆☆
通気性   ☆

こんな感じ。とにもかくにも息苦しくて、死んじゃいそうなんですね。周りにも、なかなか不評でした。笑
体を守るためなのに、本末転倒というか。

そんな失敗を経ての、今回のマスク作りでした。